中村敬介 | 鹿野清宏 | 横矢直和 | 猿渡洋 | |
発表題目:実環境音声情報案内システムにおける子供発話の認識
発表概要:生駒市北コミュニティセンターで稼動している音声情報案内システム「たけまるくん」より収集した子供ユーザ発話の音声認識性能を評価した結果、認識精度向上のための対策が必要であることが分かった。原因として、子供音声の特徴がシステムに実装されている音響モデルに合致しないことや、言語モデルが自由な発話に対応していないことが挙げられる。本発表ではシステムより収集した実環境における子供発話を利用して音響モデル及び言語モデルについて見直しを行い、子供の音声認識精度がどの程度改善されるかを報告する。 | ||||
大浦央子 | 鹿野清宏 | 横矢直和 | NickCampbell | 猿渡洋 |
発表題目:実画像を用いた発話顔画像合成
発表概要:人間・機械間における円滑なコミュニケーションのため,広く顔画像合成の研究が行われており,主に擬人化エージェントへの応用が期待されている.本研究室においても実画像を用いた発話顔画像合成器の開発を行っているが,顔全体で合成をする際に頭や肩の動きの不自然さ等の課題が残されており,口唇のみの合成に留まっている.本研究ではこの発話顔画像合成手法の顔全体の合成への拡張を検討している.発表では現在のシステムを拡張した顔画像合成手法を提案し,今後の展望について述べる. | ||||
村田賢 | 木戸出正繼 | 横矢直和 | 河野恭之 | |
発表題目:時系列マルチセンサ情報を用いたイベント開始点推定
発表概要:PCの小型化や記憶装置の小型・大容量化により,人間の体験を全てデジタルデータとして 保存できるようになる日が近づいている.しかし,ただ保存しただけでは,人が参照したい場面を探 し出す事に手間がかかってしまう.そのために,体験映像を自動的に要約・構造化する技術が重要と なる.本研究では,ユーザが身につけた各種センサ情報を用い,ユーザが入力したイベント終了点に 対するイベント開始点を推定することを目標とする.本発表では,イベント開始点を推定する手法と, その手法を適用した実験結果,今後の課題について述べる. | ||||
北島利浩 | 木戸出正繼 | 横矢直和 | 河野恭之 | |
発表題目:外見特徴の一様な複数移動物体の追跡
発表概要:近年、ビジョンシステムを用いた移動物体の検出と追跡の研究が数多く行われている。その応用例には、侵入者や不審者を検知するセキュリティシステム、スポーツシーンの解析、道路環境における交通監視システムなどがある。それぞれの研究において移動物体の検出率、追跡率は高い値を示している。しかし、これらの研究における失敗例は共通している。色や形状の似た物体同士によるオクルージョン(隠蔽)が発生した場合には検出率、追跡率は著しく低下する。さらに物体の形状が変化する場合には、さらに困難なものになってしまう。 そこで本研究では、この問題を重要視し、物体の形状の変化に対応し、オクルージョンに対してロバストな追跡アルゴリズムの構築を目指す。そのための追跡システム全体の流れと、物体の検出時における仮説生成について述べる。 | ||||
鈴木未央 | 山口英 | 門林雄基 | 砂原秀樹 |
発表題目:ネットワークテストベッドにおける実験支援機構の実装と評価
発表概要:多数の計算機をクラスタ化して仮想的なネットワークの構築に用い、様々な実験評価を行うためのネットワークテストベッドという施設がある。ネットワークテストベッドにおいて実験を行う際、実験ネットワーク環境の構築に費やされる時間・作業コストが高く、目的とする実験を円滑に行えないという問題がある。そこで、実験を円滑に行うために、実験ネットワーク環境作成・検証機構を提案し、実装を行う。提案機構では、実ネットワークから収集した、または実験者の意図するネットワークトポロジを XML で記述し、その記述から各ノードの設定ファイルの生成、各ノードに設定を反映する。そして、導通テスト・可視化により構築されたネットワークが実験者の意図通りであるかの検証を自動的に行う。クラスタ環境において様々な実験環境を構築する際に共通に行われる作業をこの機構を用いて省力化することで、短時間かつ容易に実験ネットワークを作成できる。本発表では、提案機構の詳細、現在までに実装した内容、今後の研究計画について述べる。 | |||
下條敏男 | 山口英 | 門林雄基 | 砂原秀樹 |
発表題目:同一組織内のネットワークのセキュリティポリシーの違いを考慮したファイアウォール設定のためのポリシーの設計と評価
発表概要:近年のネットワークの発展により、同一組織内においてもその部署によりネットワークにおけるセキュリティポリシーの違いが存在するようになった。このため、組織内においても部署毎にファイアウォールを設置する必要があるが、一人のネットワーク管理者により複数台のファイアウォールを管理することは通常難しく、設定ミスが発生する可能性が存在する。このため、ベンダ毎や装置毎の設定記述や設定方法の違いなどを吸収し、複雑なファイアウォールの設定を人間にとって理解しやすい設定方法にする必要があると考えられる。この問題に対応すべく、本研究ではネットワーク管理者が個々の装置に対する設定を行うのではなく、同一組織内の部署毎のネットワークに対するポリシーの記述することで、組織内全体のファイアウォールの設定を可能とするシステムを提案する。本システムでは、ネットワーク管理者により指定されたポリシーと組織内ネットワークのトポロジー情報を元にして、コンフィグレーション設定を行う対象のネットワーク機器を選択し、ポリシーをネットワーク機器固有のコンフィグレーションに変換した後に設定対象ネットワーク機器へ設定を行う。本発表では、このシステムの詳細と今後の課題について述べる。 | |||
夏山京大 | 山口英 | 門林雄基 | 砂原秀樹 |
発表題目:<題目>ポリシに基づくIGP設定支援方法の提案
発表概要:<概要> 現在, ネットワークが複雑化する一方で, 依然, 機器の設定は管理者が独自に作成したスクリプトや手作業によって行なわれている. そのため, 設定パラメータの計算ミスや管理者の単純な設定ミスによるネットワーク障害が頻発している. Open Shortest Path First(OSPF)では, この問題を解決するためにパラメータを決定するためのさまざまなアルゴリズムが提案されているが, 現在提案されているアルゴリズムでは Internet Service Provider(ISP)や企業ネットワーク設定におけるポリシを反映しているとはいい難い. そこで, XMLを用いた汎用的な記述表現を用いて管理者のポリシを入力し, その入力を元にOSPFのパラメータ設定を支援するアーキテクチャを提案する. アーキテクチャ実現の第一歩として, パラメータ設定機能の中で経路選択に大きく影響を及ぼすコスト設定に着目し, 意図する経路が選択されるコストパラメータ決定手法を設計した. 設計手法により管理者は優先経路や代替経路を指定するのみでよく, 線形計画問題として解かれた各リンクコストは管理者の求める経路選択を反映した値となる. 本研究により, 優先経路情報やエリア情報の入力のみで管理者のポリシを反映したネットワークパラメータ設定を決定し, ネットワーク内の各ルータへ配布することが可能となり, OSPFの設定における人的ミスや管理コストを大幅に削減できる. | |||
田中友美子 | 小笠原直毅 | 湊小太郎 | 渡邊日出海 |
発表題目:ヒトゲノムにおけるLTRの解析
発表概要:ヒトゲノムには様々な散在反復配列が存在するが、そのうちの1つがHERV(human endogenous retrovirus)である。HERVは外因性のレトロウイルスと類似した配列を持つが、HERVのほとんどは機能を持たないと考えられている。しかし、ある種の自己免疫疾患患者の細胞や奇形ガン細胞、胎盤形成において、HERV由来のタンパク質が発現されていることが確認されており、またHERVの両端に存在するLTR(long terminal repeat)の中に転写プロモーター活性を保持しているものが存在することも報告されている。そこで、このHERVのLTRからの転写産物に何らかの機能が存在するという仮説を立て、その検証を試みた。まず、ヒトゲノム内に存在する全遺伝子の近傍領域におけるLTRの分布を調べてみた。その結果、興味深いことに、特に遺伝子逆鎖の下流側にLTRが偏って存在することが明らかになった。また、遺伝子近傍に分布するLTRの配列を調べてみたところ、実験的に転写活性を持つことが実証されているLTRのプロモーターやエンハンサーの配列に有意な類似を示す配列を保持しているものが見受けられた。これより、LTRからantisens RNAが転写され遺伝子のmRNAと会合することで、RNAi(RNA interference)活性を示す可能性が示唆された。 | |||
真保陽子 | 小笠原直毅 | 湊小太郎 | 渡邊日出海 |
発表題目:LINE1を用いたヒトの染色体構造及び核内配置に関する研究
発表概要:間期染色体はクロマチン構造をとっているが脱凝縮されており、染色体は極めて細く、絡まっているようにしか見えない。そのため各染色体の区別を付ける事は困難であり、核内における染色体の配置を詳しく知る方法は確立されていない。また、間期染色体はヌクレオソーム構造をとり30nm繊維に凝縮するだけでなく、さらに精巧に折りたたまれて組織化されていると考えられているが、この高次構造はまだ解明されていない事が多い。そこで、本研究では2003年4月に発表されたヒトゲノム完全配列を用いて、間期染色体の構造及び、各染色体の核内配置を明らかにする方法を検討するため、ヒトゲノム内に存在するLINE1(Long interspersed nuclear element-1・長い分散型核内反復配列、以下L1)に注目した。ヒトゲノム内の一部のL1エレメントは現在でも活性を持ち、コピー&ペーストの過程を通して自身を増幅させている。遺伝子の転写は染色体クロマチン構造の影響を受け、転写がおこなわれている部分は脱凝縮されている事が知られており、また核内において各染色体はある一定の配置を取っていると考えられている。よってL1の転写とそのレトロトランスポジションの過程が染色体構造と配置の影響を受けている可能性が高い。すなわち、L1が活発に転写されている時、逆転写酵素やエンドヌクレアーゼが比較的多く核内に存在し、転写されたL1は核外に出ることなく、それら酵素に捕らえられ、近傍に存在する脱凝縮されている自身の染色体や他の染色体に挿入される事が考えられる。そこで本研究ではこの仮説の下に、同染色体上における相同性の高いエレメント間の距離から転写可能な脱凝縮状態にある染色体の長さの周期性を見つけ、これから間期染色体の構造を、また別染色体に存在する相同性の高いエレメントから核内における染色体の配置を予測する事とした。BLASTによる相同性解析の結果、相同性の最も高いエレメントのうち、同染色体上に存在するものが633存在し、これらエレメント間の距離は100kbp未満のものが最も多かった。 | |||
池田紗由香 | 小笠原直毅 | 湊小太郎 | 渡邊日出海 |
発表題目:イントロンに寄生するprocessed pseudogene
発表概要:ヒトやマウスのゲノム中に存在するprocessed pseudogeneは、転写に必要な配列を欠くため一般には発現しないと考えらている。しかし、近年実験的に発現の確認されたものが存在し、マウスのG6pd-2やGk-rs2などこれらのうちのあるものは組織特異的に発現し機能していることが報告された。ただしその発現のメカニズムはこれまでの研究ではわかっていない。そこで我々は、processed pseudogeneが発現する可能性として、イントロン内に存在するprocessed pseudogeneを考えた。すなわち、イントロン内に存在し、かつmRNAの特徴を十分に残したprocessed pseudogeneは、挿入先の遺伝子のイントロンとともにmRNAに転写され、mRNAの特徴を残しているがゆえに、他のイントロン領域に比べてエキソヌクレアーゼによる分解を受けにくく、そのうちのいくらかが核外に出てタンパクに翻訳されうるのではないかと考えた。この可能性を検証するために、我々はヒトゲノム中のイントロンに存在するprocessed pseudogeneの抽出と、逆転写される前の配列である親遺伝子の推定、Ka/Ks解析を行った。その結果、ヒトゲノム中には186の完全長のCDS配列を保存しているprocessed pseudogeneがイントロンに存在することがわかった。また、このうちの67がイントロンと同一鎖内に存在し、さらにそのうちの33にはCDS配列内にストップコドンが存在しないため、タンパクトしての機能を保持している可能性が高いことがわかった。また、Ka/Ks解析からこれらイントロンと同一鎖内に存在するprocessed pseudogeneは比較的最近になって生じたものが多いことがわかった。 | |||
黒澤桂子 | 小笠原直毅 | 湊小太郎 | 渡邊日出海 |
発表題目:細胞内共生菌の最終共通祖先ゲノムの再構築
発表概要:限られた食物に依存している昆虫の多くは細胞内に有益な共生菌を住まわせている場合が多い。これらの共生菌はホストの細胞外での培養が困難であったためその生態についてあまり知られていなかった。近年、ゲノム解析の進歩により共生菌のゲノムが決定され、共生菌はそれらに近縁の独立栄養の微生物に比べてはるかにゲノムサイズが小さいことがわかった。近縁の微生物であるE.coliとの比較解析により、これらの共生菌は進化の過程で多くの遺伝子を失ってきた結果、現在のような小さいゲノムを持つようになったと考えられている。現在、ゲノムが決められている共生菌に、アブラムシに共生している,Buchnera APSとツェツェバエに共生しているWigglesworthia glossonidiaがある。どちらの共生菌も遺伝子数は600前後しかないが、それぞれ異なるゲノムの特徴を示している。この2種類の共生菌がどのような進化の過程を辿ったかを明らかにするために、これら2種のゲノムの比較解析ならびに2種の共生菌の最終共通祖先のゲノムの再構築を試みた。その結果、これら2種の最終共通祖先には少なくとも786個の遺伝子が存在していたことがわかった。さらに、最終共通祖先で保存されていたと考えられる遺伝子の並びに注目し、分岐後にそれぞれの種で起きた遺伝子の欠失や配置換え(rearrangement)について解析を進めた。 | |||