ゼミナール発表

10月2日(木)2限


会場:L1

司会: 新保仁
足立一樹 鹿野清宏 松本裕治 NickCampbell 猿渡洋
発表題目:韻律的に多重な音声データベースを活用した韻律変更率に対する知覚的評価
発表概要:本研究ではTTS(Text-To-Speech)システムを用いて、多様な発話様式を表現する音声合成手法の検討を行っている。波形接続型方式において高品質な合成音声を生成するために、波形接続の後処理として韻律制御を行うことが考えられるが、分析合成手法を用いて基本周波数・音素持続時間の変更を行う場合、変更の程度に応じて品質劣化が生じる。本発表では、9種類の平均的に異なる韻律を持つ音声データベースと高品質分析合成方式STRAIGHTを活用し、韻律の変更量と品質劣化との関係を知覚実験により評価した結果を述べ、韻律制御時の品質劣化低減について検討する。
 
藤本英輝 木戸出正繼 松本裕治 河野恭之
発表題目:対話支援エージェントのための連想による発話話題生成機構
発表概要:グループ対話に参入し、それまでの文脈を考慮した話題を提出することで対話の活性化を促すシステムを目指す。概念間の構造情報が記述されたEDR電子化辞書を用いて連想辞書を作成し、話題を重み付ベクトルとして表現することで連想辞書から新しい話題を生成する方法、および今後の課題について述べる。
 
真嶋利彰 渡邉勝正 松本裕治 山下茂
発表題目:オブジェクト指向プログラミングによるデータベースアプリケーション開発手法
発表概要:Javaをはじめとする主要オブジェクト指向プログラミング言語によるデータベースアプリケーション作成の技術は、SQL言語を文字列型リテラルとして直接プログラムソースコードに埋め込む手法を採っている。この手法では、プログラマがSQLを学習しなければならないコスト、かつ一つのアプリケーションコードに異なる言語が混在するという一貫性の欠如などの問題が挙げられる。これらの問題点の解消を狙い、本研究はJavaを用いてプログラマがSQLを全く意識せずにオブジェクト指向言語の知識のみでデータベースアプリケーションを開発可能にする手法を提案する。更に、構築したJavaによる開発手法を拡張し、アクティブデータベースをシミュレートする方法を紹介する。
 
田邉昭博 石井信 松本裕治 柴田智広
発表題目:Winer-Hermite展開とその応用
発表概要:確率変数をHermite関数列を用いて直行関数展開し、量子力学における生成消滅演算子の概念を導入すると、統計量が近似計算できる。これを用いて比較的直観的に統計量が計算できることを示し、適用限界と今後の展望を述べる。
 

会場:L2

司会: 中村豊
秦康祐 山口英 門林雄基 砂原秀樹
発表題目:移動端末の相互協調によるモビリティ実現機構の設計と実装
発表概要: TCP/IP が設計された当時、コンピュータが移動することや、複数の IPアドレスを保持することは考えられていなかった。しかし、今後は数多くのホストが複数のインターフェイスを保持し、通信環境に応じてインターフェイスを切り替えることが予測される。このとき、現在の TCP/IP ではセッションが切断する問題が発生する。そこで、ユーザがそのネットワーク環境を意識せず、セッションを維持することが可能となる機構を設計し、実装を行う。提案手法では3層で管理している IPアドレスと 4層で管理している IPアドレスをマッピングする3.5層を実現することにより、セッションが切れる問題を解決する。本発表では、3.5層の詳細と今後の課題について述べる。
 
太田政宏 山口英 門林雄基 砂原秀樹
発表題目:合作における議論支援システムの実装と評価
発表概要:遠隔授業において、グループ単位で議論をしながら共同で問題解決を行なう問題解決型の授業の取り組みが、行なわれている。今までの遠隔授業では、議論を支援するメディアとして、メーリングリストとBBSが用いられてきた。しかし、メーリングリストやBBSでは、議論が発散してしまい、議論を行うのが困難である。また、議論の内容が課題レポートに反映されるとは限らない。そこで、議論をラベルと木構造を用い視覚化する議論支援システムを構築し、3期に行なわれる「インターネット時代のセキュリティ管理」授業で、既存のメーリングリストの比較実験を行い、有用性を評価する
 
平井貴浩 山口英 門林雄基 砂原秀樹
発表題目:PKI 技術を用いたストリーミング受信権利管理システム
発表概要:インターネットを用いてストリーミングコンテンツを流通させるには,コンテンツの不正利用を防ぐ権利管理システムの利用が必要不可欠である.今日利用されている権利管理システムとしては,再生権利が再生機器と結びつく DRM(Digital Rights Management) を用いる権利管理システムと,ID, パスワードによりユーザ認証を行うことで権利の有無を確認する権利管理システムが存在する.DRM を用いたシステムでは,権利を他プレイヤに移動できない.また,ユーザ認証は権利数の増加により権利データベースの負荷が増大する.本研究では,PKI を用いた権利管理システムを開発を行う.本提案システムは,DRM を用いた権利管理システムと異なり,機器間,ユーザ間における権利の譲渡が容易に実現できる.また,ユーザ認証を用いた権利管理システムと異なり,権利の有無に必要なコストは,ユーザ数やコンテンツ数に影響されない.今回の発表では,本提案システムの概要と今後の課題について述べる.
 

会場:L3

司会: 上野敦志、久米出、浮田宗伯
石田実里 湊小太郎 木戸出正継 杉浦忠男
発表題目:力覚提示可能な肺内圧を考慮した3次元肺モデルの提案
発表概要:1998年に肺がんの死亡者数が胃がんを抜き第1位となって以来、肺がんの患者数は増加傾向にある。肺がんの処置としては化学療法・放射線療法と外科的治療がある。その外科手術法として、開胸手術と胸腔鏡手術があげられるが、どちらも施術前には十分な訓練が必要とされる。手術訓練を目的としたシステムの先例研究として、呼吸運動を行わない肺を手術シミュレートする研究などがある。しかし、呼吸運動による肺の内圧をモデル化しシミュレーションを行う研究はない。胸部外科手術における手技の習熟を狙いとした手術訓練システムには、より現実的な肺モデルの構築が望まれている。そこで本研究では、肺の空気内圧が考慮された弾性モデルからなる3次元肺モデルを提案し、力覚提示可能な環境を構築する。 
今回の発表では、肺の体積変化が反力に作用する弾性モデルと、この弾性モデルを用いて作成した3次元肺モデルについて述べる。
 
梅本耕司 小笠原司 木戸出正継 松本吉央
発表題目:定量的講義評価を目的としたカメラ画像による受講態度の認識とその解析
発表概要:本研究では、カメラ画像を利用した定量的な講義評価の提案を行う。定量的な評価の判断材料として、出席者の位置、受講者数、そして遅刻・途中退出者や前を向いて授業を聞いている人の数とその時間を挙げ、画像を用いてそれらを計測し解析することで,講義の評価とする。今回の発表では、画像を用いてこれらの評価を行うことが可能かを検証するための予備実験,そして今後の展開について述べる。
 
帆足尚孝 藤原秀雄 渡邉勝正 井上美智子
発表題目:プロセッサの命令レベル自己テストにおけるコントローラのテスト生成
発表概要:近年、集積回路の微細化・高速化により、テストを容易にするための機構を回路内部に埋め込む従来のテスト手法におけるパフォーマンスの劣化が問題となっている。本研究では、これに対応した実動作速度でハードウェア・遅延オーバーヘッドのないテスト手法を目標とする。 本手法では、プロセッサの命令列(テストプログラム)で、モジュール単体に対してテスト生成およびテストの正当化・応答の伝搬を行う。 モジュールの入力には命令列で任意の値を設定できるわけではないため、モジュールに対して設定可能な値(制約)をあらかじめ探索し、その制約の下でテスト生成を行う。 組合せ回路モジュールに対しては、Li Chenら(2001)により、高い故障検出率の達成が報告されている。一方、コントローラなどの順序回路モジュールは内部に状態をもち刻々と変化するため、状態を考慮した制約が必要である。 本発表では、コントローラに対する状態を考慮した制約抽出の概要と今後の課題について述べる。
 
高桑寿一 藤原秀雄 渡邉勝正 井上美智子
発表題目:消費電力を考慮した連続可検査性に基づくシステムオンチップの面積と時間の相互最適化
発表概要: 近年の半導体集積技術の進歩により、これまでボード上で複数のICを用いて実現していたシステムを 1 つの LSI 上に実装可能になった(システムオンチップ、SoC )。SoC 設計においては、コアと呼ばれる機能ブロックの単位で設計を行う。この SoC のテストでは、コアにテストパターンを印加し、その応答を観測するためのテストアクセスが必要であるが、SoC に対するテストアクセスは一般に困難であり、テスト容易化設計が必要である。これまでに SoC の連続可検査性と呼ばれる、すべてのコアと信号線への連続したテストアクセスが可能である性質が定義され、この性質を利用した SoC のテスト容易化設計法が内山ら(2003)により提案されている。この手法では与えられた SoC に対して、面積オーバーヘッドとテスト実行時間で相互最適なテスト容易化設計を施すことができるが、テスト実行時間が長く、また計算時間も長くなるという欠点があった。本研究では従来手法で扱った問題に加え SoC のテスト時の消費電力の問題を扱い、その問題に対して従来法よりもテスト実行時間、計算時間がともに短くなるような SoC のテスト容易化設計法を提案する。本発表では研究で扱う問題とその問題に対する解法、そして今後の課題について述べる。