ゼミナール発表

10月1日(水)1限


会場:L2

司会:佐藤哲大
川脇大 石井信 湊小太郎 柴田智広
発表題目:<題目>
円滑性追跡眼球運動を題材としたヒトの脳の外界の推定と予測に関するfMRI研究
発表概要:<概要>
ヒトを取り巻く環境には,直接観測できない情報が多く含まれる.しかも,脳の情報処理と伝達には多少の時間が伴うので,観測された情報は既に過去のものとなる.こういった状況下でもヒトは適切な行動をとることができる.すなわち理論的には,ヒトは外界の隠れた状態を推定し,現在の状態を予測していると考えられる.これに関して最近,ヒト大脳皮質は外界の隠れ状態を,確率的モデルをもとに推定する機能を持つという仮説が提唱されている.本研究は,上記の仮説の検証しようとする研究の一環として,科学的に格好の研究対象だと考えられる円滑性追跡眼球運動に着目した実験を行うものである.我々は,13名の被験者を対象としたfMRI実験によって,円滑性追跡眼球運動の維持中の視標運動の予測に関連する活動を,pMST(putative MST)野とpMT野(共にInferior Temporal Sulcus),FEF野(Precentral Sulcus),視覚野(V1,V2,V3)を対象に調査した.滑らかに動く視標を追視中に視標を短期間消滅させるという手法(Newsom et al. 1988等)をfMRI実験用に改良した手法を用いた実験を行い、点滅せずに運動する視標を追跡する場合(通常視標条件)と、点滅しながら運動する視標を追跡する場合(点滅視標条件)のMR信号変化率を計測した.なお、計測した眼球運動が視標点滅の有無に大きな影響を与えていない場合のみを取り上げてfMRI解析を行なった。通常視標条件における活動に対して,点滅視標条件における活動は,pMST野において同等であり,FEF野において増加した.視標の消滅にもかかわらず維持される眼球運動に相関した活動を示すpMST野では視標運動の予測を,視標が消滅する条件において活動が高くなるFEF野では視標消滅という急激な入力の変化に対応して滑らかな眼球運動を続けるためのゲイン調整を,視標の消滅に相関して活動が減少するpMT野や視覚野は視覚入力に関する役割を担っていることが考えられる.

 
船越英史 石井信 湊小太郎 柴田智広
発表題目:戦略の違いによるヒト行動制御のイメージング研究
発表概要:ヒトが動的な環境において取る行動適応過程には、環境の状態変化に対する予 測が可能な場合と不可能な場合で脳活動に差異があることが指摘されてきた。この違いは、 より抽象度の高い戦略の違いとしても解釈できるという仮説のもとにfMRI実験を行った結 果、活動差が見られたので報告する。さらに、今後の課題と方針について述べる。
 
西尾泰和 湊小太郎 金谷重彦
発表題目:螺旋状の代表点配置を用いた球面SOMと、それを用いた発現プロファイルからの知識発見
発表概要:マイクロアレイ実験による発現プロファイルのデータからの知識発見に、自己組織化写像(SOM)は有用である。発表者は代表点を螺旋状に配置することで既存の球面SOMに代表点個数の任意性やユークリッド距離での密度の均質性などの有益な性質を持たせることが出来ることを発見したのでここに報告する。