ゼミナール発表

日時: 11月21日(金) 2限(11:00-12:30)


会場: L2

司会: 齋藤 将人 助手
串戸 洋平 ソフトウェア工学 松本 健一
発表題目:論文紹介"Conflicts in Policy-Based Distributed Systems Management"(IEEE Trans. on Software Eng,Vol25,No.6,pp852-869)
発表概要:現在、分散システムは多くのオブジェクトから構成されており完全にシステムをシャットダウンせずにシステムを変更できるようになっていなければならない。その手段としてポリシーを用いたシステムがある。そこで、本論文ではポリシーを用いたシステムで起こる問題として、Authorization policyとObligation policyの二つのポリシーにおいて生じる競合の検知と解決の問題に着目し、ポリシー競合を調査する。また、分散システム内でポリシー同士がうまく共存するためのポリシー間の関係についても議論する。
 
栗山 進 ソフトウェア工学 松本 健一
発表題目:論文紹介"The State of the Art in Automating Usability Evaluation of User Interfaces"(ACM Computing Surveys, Vol. 33,No. 4, December 2001, pp. 470-516)
発表概要:Usability evaluation (以下UEと表記)はユーザインタフェース設計プロセスにおいてますます重要な部分となってきている。この論文では自動化の役割を強調する新たな分類法によって体系づけられたUEに関する広範囲な調査が示されている。その中でも情報視覚化を取りあげ、この研究領域の様相と今後の研究方針について述べる。
 
黒瀬 誠人 ソフトウェア工学 松本 健一
発表題目:論文紹介"Web Services: BEYOND COMPONENT-BASED COMPUTING"(COMMUNICATIONS OF THE ACM ,pp.71-76, October 2002)
発表概要: ビジネスプロセスとアプリケーションを統合するために、コンポーネントベースドミドルウェアとWebテクノロジーを単純に組み合わせる手法は、異なるデータモデルやワークフローエンジン、ビジネスルールの統合を考慮していないため、不十分であった。これらの問題を解決するためのEAI(Enterprise Application Integration)ソリューションは、ベンダの独自性が強く、相互運用性に欠けている。そこで、本論文では、単純で相互運用が可能なソリューションとして、Webサービスを用いたブローカーベースドミドルウェアの構築を提案する。
 
小山 弘樹 システム制御・管理 西谷 紘一
発表題目:<題目>論文紹介 ”A Vision Based Formation Control Framework”(IEEE TRANSACTIONS ON ROBOTICS AND AUTOMATION, VOL. 18, NO.5, OCTOBER 2002)
発表概要:<概要>現在ITSの分野において、高効率な輸送手段としてフォーメーション走行が注目されている。しかし現段階でのロボット同士での協調制御は汎用的ではない。そこで本論文では非ホロノミックな移動ロボット(車など)のグループを用いて、協調制御するフレームワークについて述べる。このフレームワークにより安定性と収束性を保証しながら汎用性を持たせる制御則を提案する。
 
斎藤 充治 情報科学センター 砂原 秀樹
発表題目:論文紹介 "Semantic Web in a Pervasive Context-Aware Architecture" (Ubicomp 2003)
発表概要: 現在、あらゆるものがネットワークに接続され、どこにいても同じサービスを受けることができる、 いわゆるユビキタスネットワークが構築されようとしている。 ノードの種類も計算機に限らず、センサーなどの小さなデバイスも接続され、ネットワークは 我々のすぐ身近に存在している。 これらのセンサーから得られる情報やユーザ自身の情報を利用し、ユーザのコンテキストを推定することができる。 本発表では、ユーザのコンテキストを推定し、計算機側から自動的に情報処理、サービス提供するためのアーキテクチャを 紹介し、今後の研究方針について述べる。
 
末永 剛 ロボティクス 小笠原 司
発表題目:視線対話型車椅子における搭乗者の意図推定
発表概要:現在の車椅子は,ジョイスティックなどの手を使った操作が一般的であり,上肢の機能障害が著しい重度障害者にとって,操作が困難である.そこで,本研究では,手を使わない方法として,視線による操作に着目し,重度障害者にも操作しやすい車椅子の開発を目指す.本発表では,そのために有効と考えられる,搭乗者の意図を推定する方法として,ステレオカメラからの顔,視線情報と全方位カメラからの周囲環境情報を使用した手法を提案する.
 

会場: L3

司会: 新保 仁 助手
神山 和宏 像情報処理学 千原 國宏

発表題目:論文紹介"Spine Needle Biopsy Simulator Using Visual and Force Feedback"(Computer Aided Surgery,2002)
発表概要:脊髄針生検は、脊髄中の病巣発見にとっては重要な処置であるが、脊髄近くの重要な組織の存在のため、生検を実行することは難しく危険である。本論文では針生検時の針の最良の経路を計画し、危険を伴わずに生検を行える脊髄針生検シミュレータを開発し、その有用性について述べている。

 
佐藤 淳 知能情報処理学 木戸出 正繼
発表題目:ネットワーク家電におけるインタフェースとしてのロボット対話システム
発表概要:近年、家電製品をネットワークにつなげる風潮が高まっている。このとき家電製品を統一的なインタフェースで操作することが可能となる。またネットワークから得られた家電情報と、家庭に設置された各種センサを元に、ユーザの状況を考慮したきめ細かなサービスを実現できると考える。本研究ではロボットを家電インタフェースとして用い、ユーザ意図を推定する対話システムの構築を目指す。
 
鮫島 充 音情報処理学 鹿野 清宏
発表題目:十分統計量に基づく未知話者への環境・話者適応
発表概要:実環境における音声認識システムでは、環境雑音や話者の個人性を考慮して、音響モデルを個々の環境や話者に対して適応させる必要がある。従来法では、十分統計量に基づく教師なし環境・話者適応が提案されている。この手法では、入力話者の一発声に対し、データベースより類似話者を選択し、その選択話者の統計量を用いて音響モデルを構築する。しかし、データベースにない未知入力、特に子供の音声については、発話内容に偏りがあるため、音素バランスのとれたデータ収集が困難であることから性能が劣化してしまう。故に事前に十分な話者ごとのデータを蓄積することが求められている。また子供から大人まで多数の話者データを蓄積するため、類似話者選択の時間がかかる問題もある。本研究では、十分統計量に基づく教師なし環境・話者適応法において、広範な話者の適応と、適応モデルの構築時間の短縮を目指す。
 
沢 小百合 像情報処理学 千原 國宏
発表題目:論文紹介"A Bayesian Approach to Image-Based Visuall Hull Reconstruction"(IEEE:CVPR,2003)
発表概要:Visual Hull(視体積交差法)は複数の輪郭形状のみを用いて三次元モデルを生成する代表的な手法である。非常に高速に処理できるという反面、三次元モデルの精度が低いという欠点を持っている。これは、各視点ごとのシルエット自体にノイズを含んでいる事に起因している。本論文では、Visual Hullによる再構築にベイズのアプローチを用いることにより、ノイズを軽減する手法を提案している。
 
塩出 一平 インターネット工学 山口 英
発表題目:AI3ネットワークにおける分散攻撃トラフィックの検知・遮断
発表概要: アジア地域での衛星インターネットバックボーンであるAI3ネットワークは挟帯域で広範囲をカバーできるという特徴がある。近年ネットワーク増殖型ワーム(ワーム)や分散DoS(DDoS)攻撃による帯域浪費が問題となっているがAI3ネットワークではこうした分散型攻撃のトラフィックによる帯域の飽和が特に問題となる。そのため不正トラフィックを遮断するための機構が必要とされている。このような分散型攻撃のトラフィックはあらかじめフローを特定することが困難で、分散型侵入検知システム(分散IDS)を利用した分散型トラフィックの傾向を解析する研究がなされている。私は研究目的としてAI3ネットワークにおける分散攻撃のトラフィックの検知・ 遮断アーキテクチャの構築を目指す。そのような分散攻撃トラフィックの検知にはネットワーク内の通過・到着フローの傾向を解析する必要がある。そこで分散IDSアーキテクチャを利用した複数ネットワークでの通過・到着フローの検知事象の相関関係を解析するための研究を紹介する。
 
嶋村 昌義 インターネット工学 山口 英
発表題目:モバイル環境における暗号技術の設計と性能評価
発表概要: 近年、モバイル技術は急速に発達しており、携帯電話などのようにモバイル端末も小型化されている。その反面、モバイル端末はワークステーションのような固定端末と比べて少ない計算資源しか持たない。そのため、セキュリティを高める為に、固定端末と同様の暗号強度を用いると、モバイル端末では処理が追いつかず通信性能を下げてしまう。そこで、モバイル環境に適した暗号強度と通信性能の関係を明らかにする為に性能評価を行う必要があると考えた。本発表では、"Experience with the Host Identity Protocol for Secure Host Mobility and Multihoming"(T.R.Henderson, J.M.Ahrenholz, J.H.Kim, In Proceedings of IEEE WCNC2003 pp.2120-2125, New Orleans, USA, March, 2003)を紹介し、この論文によって得られた知見を述べ、今後の研究方針を示す。