構造生物学
Structural Biology

講義内容

 生命現象は、生体分子間相互作用のネットワークであり、その主役は遺伝子産物であるタンパク質である。これらの相互作用はタンパク質の複雑な高次構造によって厳密に規定されている。ここでは、タンパク質をネットワークの論理素子であると捉えて、その動作原理を解明するため構造的基礎を提供する構造生物学を紹介する。

1) 構造生物学の実験的方法
2) 細胞内シグナル伝達の分子スウィッチGタンパク質
3) 相互作用の特異性
4) 構造変化と分子機能制御

以上のトピックについて、細胞骨格・細胞接着を制御するタンパク質群、DNA結合タンパク質、医学的に興味のあるタンパク質等を例に概説する。

 また、蛋白質の立体構造とそのダイナミックスの論理的研究についても紹介する。

1) 蛋白質のフォールディング
蛋白質分子は、そのアミノ酸配列によって定まる特定の立体構造を取ることによって機能を発揮する。アミノ酸配列に書き込まれた立体構造情報の解読の過程でもあるこの立体構造形成のフォールディングは、実は純粋に物理学的な現象である。狂牛病の原因でもあるプリオンの形成は、このフォールディング過程の狂いの結果引き起こされる。フォールディングに関する基礎的概念を講義する。

2) 天然状態の置ける立体構造ダイナミックス
蛋白質は高級な分子機械である。機能の高級さは立体構造の複雑さが支えているが、実は、その複雑な立体構造が更に複雑に動くことによって機能が発揮される。機能を支える複雑な動きに関する実験的、理論的研究を紹介する。

 
教科書

特に指定しない。
 

参考書

Introduction to Protein Structure, Second Edition, by C. Branden & J. Tooze, Garland Publisher, NY, 1999.


前提とする知識

バイオサイエンス基礎、情報生命学概論。


成績評価方法及び基準

講義の出席状況ならびにレポート。



 


情報学研究科 教務WG
Last Update:2002/08/14