計算モデル論
Computation Models


講義内容

 授業の前半では, 「計算機で問題を解くときの, 問題の難しさをはかる尺度はあるのだろうか」という観点から, 逐次計算モデルにおける基本的で重要な考え方であるNP完全性について説明する.
逐次計算モデルの状態遷移においてランダム性を導入する, 状態を木構造に拡張する, 複数の遷移系列間の同期を許す, 超並列性を導入することにより,それぞれ,ランダム計算, 項型計算, 並行計算, 分子計算のモデルが得られる.
授業の後半では, これらの計算モデルを紹介する.

1. 逐次計算モデルにおける計算量理論
  • 時間計算量と領域計算量
  • NP完全性の定義
  • Cookの定理
  • 還元による証明法
2. ランダム計算モデル
  • 確率チューリング機械
  • クラスPP, BPP, ZPP, R
  • 暗号理論との関連
3. 項型計算モデル
  • 項書換え系と木オートマトン
  • 合流性, 停止性, 書換え戦略
  • 関数型プログラミングへの応用
4.並行計算モデル
  • プロセス代数の基礎
  • CCS, LOTOS
5. 分子計算モデル
  • DNA計算の考え方

教科書

なし

参考書

授業中に紹介する

前提とする知識

(必ずしも先修条件ではない)

・アルゴリズムとデータ構造 (アルゴリズム概論)
・形式言語理論, 計算可能性 (計算理論I)
・一階述語論理 (人工知能基礎論)

成績評価方法及び基準

レポート(20〜30%), 試験(70〜80%)

 


情報学研究科 教務WG
Last Update:2002/08/14