ゼミナール発表

日時: 10月4日(金)、4限 (15:10-16:40)


L1:横矢研、進行係:中西正樹

0151121 吉川武志 千原國宏、横矢直和、眞鍋佳嗣
発表題目:異種計測方法を用いた3次元形状の復元
発表概要:ディジタルデータの持つ劣化のない保存、数値的解析・ 加工等のシミュレートの容易さ、また複製物の作成といった有用性から 考古学的な遺跡、遺物や美術工芸品と言った歴史的文化財のディジタル化が 盛んである。物体のディジタル化のためにはその3次元形状を計測する必要が あるが、この計測装置にはレンジファインダ等が用いられる。 このレンジファインダは高精度に形状を取得できるが、得られるテクスチャの解像度が 低い。本研究ではこのテクスチャとしてビデオカメラで取られた画像を用い、 光波測量で得られたデータと統合することで高解像度な3次元形状を復元する 方法を提案する。
0151123 吉本恵子 千原國宏、横矢直和、眞鍋佳嗣
発表題目:大気による光の散乱モデルを用いた朝焼け・夕焼けの再現
発表概要: 本発表では、大気と太陽光の光学モデルを用いたマルチスペクトルレンダリングを提案する。光学モデルでは、大気による光子の散乱をモデル化し、天球上での分光分布の変化を求める。作成したモデルについて検証するため、イメージ分光器を用いて天空の分光分布を計測する。また、人間の視覚特性を考慮した表示方法を提案する。
0151113 安川慶 千原國宏、横矢直和、眞鍋佳嗣
発表題目:考古遺跡、遺物のディジタルアーカイブのための形状サーフェスモデル生成法
発表概要:考古遺跡、遺物の計測の一つの手法として、3次元スキャナなどを用いて3次元形状を計測するものがある。その計測で得られる形状データは物体表面の3次元点群データからなる。これらの点群データに面を張り、テクスチャを貼り付けることにより形状を再現することができるわけだが、点群データに面を張るということは幾何学的には欠落した位相情報を推定することと等しく、さまざまな方法が提案されている。本研究では3次元点群を2.5次元に変換することにより正確に面を張る手法を提案する。本発表では提案手法について述べた後、基礎実験の結果を示し、現状の問題点と今後の方針について述べる。

L3:石井研、進行係:作村勇一

0151054 杉本徳和 石井信、川人光男、銅谷賢治
発表題目:複数の状態予測と報酬予測モデルによる強化学習と行動目標の推定
発表概要:本研究では,複数の状態予測モデルと報酬予測モデルの組み合わせによって出力が決定されるモジュール強化学習方式``Combinatorial Model-based Reinforcement Learning (CMRL)''を提案する.
CMRLでの制御の流れは,まず予測値の正確さにより状態予測モデルと報酬予測モデルの組が選ばれる. そして選ばれた組に対する各コントローラのTD誤差が計算され,誤差の自乗値が小さかったものの制御出力値が採用される.提案方式によって,同一のダイナミクスのもとで報酬関数が切り替わるような場合でも適切なコントローラの選択が可能になる.
さらにCMRLのモジュール構造によって,相手の運動軌道から報酬関数,つまり 行動の意図を推定する見まね学習方式を提案する.相手の用いているモジュールの系列を自分のモデルを用いて推測を行うため,両者のパラメータが異なる場合であっても,自分の可能な範囲で見まねを行う事ができる.
0151061 田中沙織 石井信、川人光男、銅谷賢治
発表題目:短期と長期の報酬予測に関わる脳活動のfMRI測定と強化学習理論に基 づく回帰解析
発表概要:強化学習はロボットや人工知能へ応用され、またヒトや動物の行動学習の モデルとして注目されている。 強化学習理論には「メタパラメタ」と呼ばれる変数が存在し、学習が適切に行わ れるための調節は重要かつ困難な問題でもある。 本研究では、神経修飾物質系がこの制御を担うという仮説(銅谷1999)のなか でも、セロトニン系が報酬予測の時間スケールを制御するという説に注目し、 非侵襲的実験によって時間スケールの異なる報酬予測に関わる脳部位を特定し た。 その結果、短期、長期の報酬予測で共通に有意な活動が見られた部位は、前頭葉 眼窩面皮質、線条体であり、長期のほうがより有意な活動が見られた部位は、 背外側前頭前野、頭頂葉、淡蒼球、脳幹、小脳であった。これらの結果から、短 期と長期の報酬予測で異なるネットワークが存在すると考えられる。 また、被験者の行動データから「報酬予測」と「報酬予測誤差」を定義し、fM RI信号を回帰解析した結果、報酬予測では内側前頭前野に、報酬予測誤差では 線条体に有意な活動が見られたことから、神経修飾物質系との関連が示唆され た。
0151069 土居智和 石井信、川人光男、銅谷賢治
発表題目:小脳長期抑圧のシグナル伝達のシミュレーション
発表概要:小脳プルキンエ細胞は、平行線維と登上線維から2種類の入力を受けている。平行線維入力の100ミリ秒あとに登上線維入力があった場合、細胞内のカルシウム濃度が上昇し、長期抑圧が起きる。この小脳長期抑圧は神経細胞のシナプス可塑性の代表的例である。本発表では、シグナル伝達のシミュレータGENESIS/Kinetikitを用いて、線維入力タイミングに依存したカルシウム応答を再現できたことを発表する。カルシウム上昇の時間窓は、平行線維入力のmGluR(代謝型グルタミン酸受容体)経路によって作られるIP3というシグナル分子に支配されていた。小胞上のカルシウムチャネルであるIP3受容体がIP3によって開きやすくなっている状態のときに、登上線維入力によるカルシウム流入が引金となって、非線形的なカルシウム上昇が起こる仕組みになっていた。
0151107 村松孝彦 石井信、浅井潔、湊小太郎
発表題目:Gタンパク質共役型受容体に対するGタンパク質結合選択性予測
発表概要:Gタンパク質共役型受容体(GPCR)は細胞外部からリガンドを受けとる と、Gタンパク質を活性化させて細胞内部に対してシグナルを送る。Gタンパク質 はヒト場合18種類存在して、主に3つのグループに分けられる。本研究では、 アミノ酸配列情報から、新規機能未知GPCRがどのグループのGタンパク質を 活性化するかを予測することを目指している。今回は、どのような特 徴量を用いて判別を行なったらよいかについて発表する。