ゼミナール発表

日時: 10月3日(木)、3限 (13:30-15:00)


L1:千原研、進行係:安室喜弘

0151087 広木誠 木戸出正繼、千原國宏、河野恭之
発表題目:<題目>空中署名動作の特徴抽出による個人認証システムの提案と構築
発表概要:<概要>近年、バイオメトリクスを中心として様々な電子認証システムの研究・開発が盛んに行われている。ただし、バイオメトリクスには一度復元・偽造されると二度と使用できなくなるといった大きなの問題点がある。そこで本研究では、擬似的な距離画像をリアルタイムで取得できる赤外線照射カメラ(モーションプロセッサ)を用い、ユーザがカメラに向かって署名を行う空中署名時における筆跡の三次元情報と手形状等の三次元特徴パラメータを抽出する事で個人認証を行おうとしている。これにより、仮に暗号が偽造されてもユーザ自身が容易に暗号を変更する事ができ、更に個人間の行動特性を用いる事で他者に真似され難いシステムが可能であると考え、そのシステムの開発を目指している。
0151097 松原利之 木戸出正繼、千原國宏、河野恭之
発表題目:ステレオカメラを用いたウェアラブル仮想タブレット
発表概要: 近年,さまざまなウェアラブルコンピュータ向けの入力デバイス研究が行われている.しかし,絵や手書き文字といったコンテンツを入力可能なデバイスは,まだ実現されていない.コンピュータの他は着用型ディスプレイ(HMD)のみを着用し,手に持てる矩形平板を指でなぞることでによってメニュー選択,絵や文字といった任意のコンテンツ入力が可能な『ウェアラブル仮想タブレット』が提案されているが,これは赤外線カメラを利用して平面認識,指の接触認識を行っているため,太陽光の下では使えない,入力可能な面が制限されるといった欠点があった。  本論では,HMDに組み込まれたステレオカメラを利用して,平面認識,指の接触認識を行うことで,太陽光の元でも動作する,手に持てる矩形平板だけではなく,机や壁といった環境中の任意の平板で仮想タブレットが操作可能なシステムを目標としている.ステレオカメラを利用してのウェアラブル仮想タブレットの実現手法,進捗状況について発表する.
0151109 森田顕司 木戸出正繼、千原國宏、河野恭之
発表題目:動画像処理による高速道路合流部における進入支援
発表概要:近年、高度道路交通システム(ITS:Intelligent Transport Systems)に関する研究が盛んに行われている。本研究は、ITS分野の中の安全運転支援に関するもので、高速道路における合流部での進入がスムーズに行えるように、運転者に操作指示を与えるシステムを提案する。合流部進入に関する研究では車々間通信が主流だが、固定した基地局に依存した通信制御が困難である点、シミュレーション実験のみで実装が行われていないといった問題点がある。そこで本研究では、画像から必要な情報を得ることで実装を可能にする。発表では、システム構築のために必要なパラメータを求めるための手法と問題点について述べる。

L2:西谷研、進行係:今福啓

0151038 吉川義人 杉本謙二、西谷紘一、笠原正治
発表題目:あるクラスの動的システムに対する独立成分分析
発表概要:信号処理の分野で注目されている独立成分分析(ICA)は、一般に定数係数による静的な混合を取り扱うものが多い。しかし、ICAの手法を制御系へ適用する為には、動的なシステムにより混合された信号を取り扱わなければならない。しかしながら、動的システムによる混合は極めて困難な問題設定である為、本発表では多項式行列の分解を用いることにより、ある種のクラスに対して有効な解法を提案する。
0151016 後田成文 鹿野清宏、西谷紘一、猿渡洋
発表題目:<題目>音場再現における環境変化に適応的な逆フィルタのオンライン緩和手法
発表概要:<概要>ラウドスピーカによる音場再現を実現するためには,室内伝達特性の影響を除去する逆フィルタの設計が必要不可欠である.実環境において室内伝達特性は容易に変動するため,逆フィルタのフィルタ係数が固定されているシステムでは変動に応じて再現音が劣化する.この問題に対しては,変動後の室内伝達関数のインパルス応答を再推定する手法や,打ち切り特異値分解に基づいた逆フィルタの逐次的緩和手法が提案されている.しかし後者においては,原音中の楽音等が含まれる時間区間では適応することが困難であった.本研究では,後者の手法をオンライン化することを念頭に置き,再現音を常時観測し逆フィルタを適応的に緩和する手法を検討する.本報告では,監視用制御点において得られた観測信号を原音を用いて正規化し,その信号を用いて適応的に逆フィルタを緩和する手法を提案する.また,提案手法の有効性を実環境データを用いたシミュレーションによって確認する.
0151020 大久保淳郎 杉本謙二、西谷紘一、笠原正治
発表題目:数値最適化を用いた運動モード配置の一手法
発表概要:航空機の運動を特徴付けるロールなどの各運動モードと,システムの極,固有ベクトルといった固有構造との間には深い関係がある.よって状態の過渡応答特性の改善のために,固有構造配置法は有効な手段である.しかし,システムのすべての固有構造を厳密に指定すると,過渡応答特性以外の設計目標に残された自由度は少ない.そこで本研究では,閉ループ系の固有構造を,あらかじめ指定した自由度のある領域へ配置する状態フィードバックゲインの一構成法を提案する.これにより得られた自由度はロバスト安定化などの他の制御目標へ利用できることが期待される.
0151059 竹村憲太郎 小笠原司、西谷紘一、松本吉央
発表題目:ドライバの注視点計測システムの開発と注視行動の解析
発表概要: 交通事故原因の多くはヒューマンエラーに起因している.その防止に向けてドライバのモニタリング技術は盛んに研究されている.ドライバの取り扱う情報のうち90%は視覚情報であることから,本研究では注視情報に注目する.本研究では非接触・オンライン計測可能なシステムを提案し,注視特性の解析から運転支援システムへの応用を検討する.提案するシステムは顔・視線トラッキングシステムと車両上部に固定した全方位視覚センサ等を利用したビジョンベースの注視点計測システムである.発表では提案するシステムと今後の方針について述べる.

L3:藤原研、進行係:大竹哲史

0151125 AGUS PRAYITNO 千原國宏、湊小太郎、眞鍋佳嗣、大城理
発表題目:デプス情報を鑑みたMR空間の構築
発表概要:現在拡張現実(AR)の技術が注目される中で,非ディスプレイのARの 必要性を考えた。本研究では仮想物体を実空間に直接投影することを考える。 しかし,仮想像を実空間に投影する場合,対象の形状により映像を歪んでしまう。 本研究ではカメラとプロジェクタを用いて実物体の3次元計測を行い,実物体と 仮想物体の隠蔽関係を成立した。最後に仮想像を歪なく実空間に投影することを 考える。
9951070 田中彩子 砂原秀樹、湊小太郎、藤川和利
発表題目:柔軟な情報流通が可能な個人の情報発信モデルの提案
発表概要:近年,メールやwebを利用した情報交換やコミュニケーションが普及 してきている.メーリングリストや掲示板など,コミュニティを主体とする発信 モデルでは,状況や雰囲気など心理的な影響が大きく,必ずしも情報を意図通り に発信できるとは限らない.また,webの発信モデルでは不特定多数が閲覧可能であり, 情報の流通範囲を定めることはできないために,プライベート性の高い情報は発信し にくい. 本研究では,情報の読み手,場,関連情報というようなコンテクストを,情報に動的 に付加することが可能な情報発信モデルの提案する.その上で,このモデルで必 要な,情報を蓄積・発信するシステムの設計と実装を行う.
0151029 梶原裕嗣 渡邉勝正、藤原秀雄、木村晋二
発表題目:論理関数の畳み込みを用いた Look Up Table の設計とFPGAへの応用
発表概要:論理回路を設計して、その場ですぐに実現できる FPGA (Field Programmable Gate Array) は、論理回路のプロトタイピングやデバッグなどに広く用いられている。FPGAは低コストかつ容易に何度でも回路を書き換えることができるが、一方で速度や面積の面でASICに劣っている。そこで今回、論理関数の真理値表の部分間の関係に着目し、真理値表の一部と簡単な論理演算を用いることで、真理値表全体を仮想的に構成する畳み込みの手法を LUT に導入した。畳み込みを用いることで全加算器の実現に必要なメモリの使用量を半分に減らすことができる。また設計した LUT を基本構造としたFPGAをLSI上に実現し、面積に関する評価を示す。
0151035 川渕知香 渡邉勝正、藤原秀雄、木村晋二
発表題目:AES暗号器の試作について
発表概要:近年のインターネットを利用したデータ通信の増加に伴い様々なデー タがネットワークを通じて大量に流出するようになり、その信頼性と安全性に大 きな感心が集まってきている。そして、その安全性を実現するための方法の1つ として暗号化処理が挙げられる。しかし近年の、データ転送速度が高度なシステ ムにおいては暗号化/復号化はアルゴリズムの高速化だけでは実現できない。そ こでDESの後続である、共通鍵暗号アルゴリズムであるRIJNDAELをハードウェア 化し、処理の高速化、並びに省面積化をはかる。そのアルゴリズムをLSI化した 実装結果を示す。

P1+P2:砂原研、進行係:中村豊

0151043 斉藤潤 山口英、砂原秀樹、門林雄基
発表題目:パケット到着時間を考慮したmidcom型VoIP通信システムの提案と実装
発表概要:<概要>現在のVoIPの大きな問題点の一つとしてFirewallの中にいるVoIP端末に電話をかける事ができないという問題点がある。midcom(Middlebox Communication)を使うとFirewallを通過することができるが、遅延やセキュリティの問題があり、これはVoIPにとっては致命的な問題である。そこで、本研究では複数のノードに同時に同じ音声パケットを送り、先に相手に到着したパケットのみを採用することで遅延を減らし、音声のデータ自体を暗号化することによって盗聴を防ぐことが期待できる。この手法によってmidcom型でも良好な品質のVoIP通信が期待できる。
0151058 高橋裕樹 山口英、砂原秀樹、高木浩光、門林雄基
発表題目:CSS(Cross-Site Scripting)問題と対策手法
発表概要:CSS(Cross-Site Scripting)は、ブラウザが表示するWebオブジェクトに第三者が任意のスクリプトを混入できてしまう脆弱性である。混入されたスクリプトは、Webページの作成者が意図していないスクリプトをブラウザに実行させ、Cookieの漏洩を引き起こす。この脆弱性の対策には、CGIプログラムの入力データをチェックする方法や、脆弱性が露見するようなHTTPリクエストを遮断する方法などがある。しかし、対策方法が存在し、かつ実装が行われているにもかかわらず、未対策のWebページが多数存在している。未対策のWebページの数を減らすには、脆弱性があるWebページの作成者、管理者への啓蒙活動や、Webページに、ユーザが意図しない動作をするスクリプトの混入を防ぐ実行環境と開発環境が必要である。現在、CSSの調査研究をされている高木浩光氏の協力を元に、CSS問題の解決をめざしている。本発表ではCSS問題と調査結果、対策手法について述べる。
0151079 西山尚志 山口英、砂原秀樹、門林雄基
発表題目:ネットワーク計測を用いたSCTPプライマリパスの動的選択手法の提案と評価
発表概要:現在,ネットワークの利用において信頼性やスループットの向上を目的としたマルチホーム環境が注目されている.これを実現するためのトランスポート層技術の一つとしてSCTP(Stream Control Transmission Protocol )がある.SCTPでは複数のパスのうち1つをプライマリパスとしてデータ転送を行うことができる.しかし,現状では一度パスが張られてもネットワーク状況の変化に応じてプライマリパスを変更することはできない.したがって,本研究では各パスのネットワーク状況を測定し,プライマリパスの動的変更指標の提案と評価を行う.
0151081 櫨山寛章 山口英、砂原秀樹、村井純、門林雄基
発表題目:レイヤ2ネットワーク上での追跡が可能なHash-based IPトレースバック拡張方式の提案と実装
発表概要:分散型サービス妨害攻撃への対策としてHash-based IPトレースバックがある.この手法は攻撃ノードの近隣ルータを特定する.しかしながら,特定したルータ下にxDSLサービスのように地理的に広く,多くのノードが存在するレイヤ2ネットワークがある場合,検証範囲が広いため攻撃ノードの特定にかかる時間や労力などのコストは高い.  そこで,本研究ではHash-based IPトレースバックを拡張し,レイヤ2ネットワークでの追跡を可能にする手法を提案する.この手法では,攻撃ノードが接続しているレイヤ2ネットワーク上のポートおよびスイッチ機器を記録する.この際,本研究で提案するデコーディング方式を用いることにより,提案手法ではネットワークへの負荷およびデータベース作成にかかる記憶容量への負荷を最小にしている.  本発表では提案方式を説明し,進捗状況と今後の研究方針を述べる.