ゼミナール講演
日時
平成 14年 11月 8日(金)3限(13:30 -- 15:00)
場所
L3
講演者
宮崎 純
所属
北陸先端科学技術大学院大学 情報科学研究科
講演題目
データ検索の並列処理とその高信頼構成
概要
計算機の利用目的の多くは、計算そのものよりも、情報を安全に蓄積し、 蓄積された大量のデータ集合から必要な情報を高速に検索し加工することである。 このようなシステムは一般にデータベースシステムと呼ばれる。その中で、 より高速に必要なデータを検索するための技術がインデクス(索引)である。 しかしデータ集合が大きくなると、インデクスを利用しようとも、 ディスクI/Oおよびメモリアクセスオーバヘッドがボトルネックとなり検索速度が低下する。 この問題に対処するためには、無共有並列計算機を用いてデータを分散させ、 I/Oバンド幅ならびにメモリバンド幅を有効に利用することが一般的である。
本講演では、 講演者が提案している無共有並列計算機向けのインデクスFat-Btreeを紹介する。 高速にデータを検索するという観点から、このFat-Btreeは、 それまでの並列B-treeよりも検索、更新の両方に対して高速なデータアクセス手段を提供する。 それを証明するために実機上でプロトタイプを作成し評価した。 この実験結果を示しながら、Fat-Btreeの優位性を解説する。
一方、情報を安全に蓄積するという観点からすれば、 並列システムはその構成要素プロセッサ数に反比例して信頼性が低下するため、 耐故障設計が不可欠である。そこで、 Fat-Btreeを高信頼にするための幾つかの構成方式を挙げ、 それらの信頼性の比較を紹介する。
最後に、 こうしたデータベースのインフラをバイオ情報学などの新しい分野にどう有効利用できるかについて、 議論する。
ゼミナールI,II予定ページへ戻る
平成14年度ゼミナール担当