ゼミナール講演
日時
平成 13年 5月 29日(火)4限(15:10 -- 16:40)
場所
L1
講演者
乾 健太郎
所属
九州工業大学 情報工学部 助教授
講演題目
計算機による言語表現の言い換え: テキスト簡単化技術の実現に向けて
概要
ある言語表現をできるだけ意味を保持したまま別の言語表現に変換する「言 い換え」の技術は,翻訳や要約,テキストからの手話生成や音声合成など,様々 な応用が期待できる重要な自然言語処理技術である.しかし,日英翻訳のよう な言語間翻訳が長年精力的に研究されてきたのに対し,「単言語内翻訳」であ る言い換えの研究はまだ極めて萌茅的なレベルにある.
そこで我々は,言い換えの総合的な事例研究として「聾者向け読解支援」を 取り上げ,これを目的とするテキスト簡単化技術の研究を進めてきた.手話を 母語とする先天的聾者の中には,日本語などの文字言語の使用訓練が不足がち なために文字言語(テキスト)の読解能力が不十分な人が少なくない.社会の 情報化が進む中,これらの人々はいわゆる情報弱者としてますます情報の流通 から疎外される恐れがある.テキスト簡単化は,こうした言語的情報弱者に対 する情報保障技術である.
言語間機械翻訳と対比させた場合,テキスト簡単化は,問題解決的側面を持 つ,対象文の大部分が変換後も保存されるなど,いくつか異なる側面を持って いる.今回の講演では,それらの対比に基づいて,テキスト簡単化技術の要件, 問題の性質,アーキテクチャ,実現への方法論について論じ,我々の現在まで の試みを紹介する.
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平成13年度ゼミナール担当:門林 雄基, 笠原 正治, 伊藤 実