バイオインフォマティクス人材養成ユニット
郷グループ


研究の概要

我々は、タンパク質の3次構造に関する話題を 理論的・計算機科学的に研究するグループです。 ゲノム配列に書き込まれたDNAの情報はアミノ酸配列に翻訳されタンパク質に なります。タンパク質はDNAと同じようなひも状の物質ですが、生成されると 水中で自然にある一定の3次構造に折り畳まります。 酵素反応、DNAとの結合、酸素の運搬などタンパク質の様々 な機能は、ある特別の3次構造に折り畳まることで初めて発揮されます。 よって、3次構造の解析、分類、予測は、タンパク質の生化学的な機能を理解するの に極めて重要です。我々は、 タンパク質の折り畳み、進化、機能を、3次構造の観点から、 理論的・計算機科学的に明らかにすることを目指しています。

主な研究分野

研究項目の具体例

  1. タンパク質立体構造比較法の開発
    構造生物学の進展によって、現在20000以上の生体高分子の立体構造が 決定されています。昨今の「構造ゲノム科学」プロジェクトの進展により、 この数は近い将来さらに増加することが期待されます。これらの 膨大な数の立体構造データを以下に有効に利用するかは、インフォマティクスの 技術にかかっています。
    立体構造比較プログラムの開発は、多数のデータを分類・比較する上で 必要不可欠なものです。我々のグループでは立体構造比較プログラムMATRAS を開発し、そのWEBサーバーを開設しています( "MATRAS")。このプログラムはマルコフ連鎖の進化モデルに基づいており、 進化的な由来による類似性(ホモロジー)を認識する能力が高いとされています。

    立体構造比較プログラムMATRASのWEBサーバ

  2. 3-10ヘリックス構造の比較・分類
    The detailed comparison at the atomic level is also important for a proper understanding of interactions between proteins and ligands, such as nucleotides, peptides, metal ion, and sugar. Currently we are interested in formulating general rules for ligand binding to proteins. By a proper comparison of data of protein and protein-ligand complexes, we hope to be able to deduce the function of a protein from 3D structural data alone. In addition, we are interested in identifying novel structural motifs in proteins, an example being super-secondary structural elements containing the non-canonical 310-helix.


    310ヘリックスの出現位置の解析

  3. 2次構造予測等を利用したアミノ酸配列からの高感度な配列相同性の 検出法の開発

    本研究室で開発された手法によって予測された立体構造の例

  4. アデニンとグアニンの分子識別における静電相互作用効果の研究

    結合における静電相互作用の計算スキーム

  5. 生体膜と膜タンパク質の相互作用の解析

    立体構造から推定した膜相互作用領域(右図の赤い領域)

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