多変量ARモデルに基づいた2ニューロン系の相互作用解析

佐々木 豪 (0351154)


脳の高次機能を解明するためには,相互に影響し合う,あるいは再帰的な結合を持つネットワークの相互作用理解が重要である.そのためには単純な相関解析では不十分で,ネットワークのモデルに基づいた解析が必要であり,近年盛んに研究されてきているが,その生物学的妥当性は十分に検討されていない.

本研究では,ネットワークとしても最も単純な2ニューロン相互作用系を対象とし,2つのスパイク時系列を線形モデル解析することにより,神経細胞ネットワークの結合加重推定やダイナミクスの理解を目的とする.ニューロンモデルとしてはイジングスピンモデル・Hodgkin-Huxleyモデルの2つを採用し,ネットワーク推定には,多変量ARモデルに基づくAkaikeのフィードバックシステム解析法を適用する.

本発表ではその結果として,一般には非線形・非ガウス性を持つスパイク時系列から,フィードバックシステム解析によって結合の伝達関数が推定され,そのインパルス応答に基づいて加重が推定可能であることが2つのニューロンモデルで示す.