ネットワーク解析に基づいた多種のバクテリアゲノムに保存されている遺伝子クラスターの検出
宮里 哲平 (0351125)
遺伝子の順序に変化をもたらす遺伝子再編成によってゲノム上の遺伝子がシャフリングされているにもかかわらず、機能の類似した遺伝子群はゲノム上に隣して配置されていることが報告されている。本研究の目的は多種の微生物ゲノムにおける遺伝子編成の保存性を体系的に理解することである。そのために、DNA鎖の5'から3'方向での隣接関係にある遺伝子対を有向グラフにより表現し、グラフ理論に基づいたクラスタリングを行った。具体的には、グラム陽性低GCゲノムを有する28種類のバクテリアゲノム(Bacillus subtilis, B. anthracis, B. cereus, B. halodurans, B. thuringiensis, Staphylococcus aureus, S. epidermidis, Listeria innocua, L. monocytogenes, Enterococcus faecalis, Lactobacillus johnsonii, L. Plantarum, Streptococcus agalactiae, S. pneumonia, S. pyogenes, Lactococcus lactis, Clostridium acetobutylicum, C. perfringens, C. tetani, Mycoplasma gallisepticum, M. genitalium, M. mobile, M. mycoides, M. penetrans, M. pneumonia, M. pulmonis, and U. urealyticum)の全遺伝子を18300オーソロググループに分類し、オーソロググループに一致するノードとDNA鎖の5'から3'方向への隣接遺伝子関係と対応する有向な辺で構成されるグラフに基づいたネットワークによって隣接関係のある遺伝子を表した。このネットワークから10種類以上の微生物ゲノムで隣接関係が保存され、5個以上の遺伝子から構成される35のオーソロググループネットワークを抽出した。これらのネットワークに基づいた遺伝子編成を分子生物学とゲノム進化の見地から議論する。