マウス初期発生段階特異的に発現する蛋白質の機能予測に関する研究

付 欣 (0451102)


哺乳類の初期発生において段階特異的に発現する遺伝子の発現パターンに関する研究は2000年3月 にERATO土居バイオアシメントリプロジェクトにより報告されていた。その研究ではマウスを実験動物として 扱い、マウスの未授精卵から胚盤胞までの初期発生で発現している約25,000個のcDNAの塩基配列( EST配列)を決定し、クラスタリングの結果、約10,000個の遺伝子とそれらの遺伝子の発現パターンを報 告していた。2000年のデータベースでは約10,000個のマウス初期胚の発現遺伝子の内、既知遺伝子 (named gene)が約1,000個が同定されていた。 本研究では、この約25,000個のEST配列を使用し、2004年5月28日版NCBIのデータベースを基にマ ウス初期胚の発現遺伝子を同定しなおした。その結果、4,708個の既知遺伝子が同定された。更にそれ らの既知遺伝子の発現パターン、遺伝子オントロジー、マウス染色体地図の作成などの解析を行った。また 28種類の特徴のある発現パターン(段階特異的、連続的に)(以下、特徴発現パターンという)に注目し、 遺伝子オントロジー解析とマウス染色体地図の作成を行った。このようにマウス初期胚の発現遺伝子を 網羅的に調べることによって、マウス初期発生段階特異的に発現する蛋白質の機能を予測するための様 々な知見が得られた。また、特徴発現パターンと染色体地図に基づき、新規遺伝子の機能の予測を試みた。 このような解析は哺乳類の初期発生のメカニズムを解明する上で非常に意義深いことである。