基盤生命学特別演習 「立体構造のインフォマティクス」

2003年10月10日
奈良先端科学技術大学院大学 川端 猛
  1. 立体構造データの取得

    1. PDBのWEBページにアクセスする

      RCSB http://www.rcsb.org/pdb/
      大阪大 http://pdb.protein.osaka-u.ac.jp/pdb

    2. フォームにキーワードを入れて検索
    3. PDBコード名をクリック
    4. Download/Display Fileをクリック
    5. TEXT形式のComplete Coordianteをマウス右ボタンでクリックし、ファイルに保存する。

  2. 立体構造データの表示(1) RasMol

    立体構造を表示するソフトウエアは、非常に高額な商用ソフトから、フリーウエアまで 様々なものがあります。今回は、最も広く使われているソフトウエアである"RasMol"を 使います。RasMolはWindows, Macintosh, Unix等幅広いプラットフォームで稼働する プログラムであり、http://www.openrasmol.orgから ダウンロードすることができます。

    RasMolの使い方

    RasMolのアイコンをクリックするか、PDBファイルをドラッグして、RasMolのアイコンに乗せることで、 起動します。通常のパソコンのソフトと同じように、メニューから、 【Display】、【Colours】、【Options】を操作することで、様々な表示法を試すことができます。 メニューバーからの操作はほぼ直観的にわかると思うので、あまり説明しません。 RasMolの機能をフルに使うにはコマンドラインからの操作を学ぶ必要があります。本日の 演習は、この部分を説明します。

    Rasmol CommandLineウインドウズの起動

    ウィンドウズ版のRasMolでは、起動時にはCommand Lineウィンドウは隠れています。 画面下のタスクバーの中から、"RasMol Command Line" をクリックして表示させてください。
      RasMol>
    
    というプロンプトが表示されて、入力待ちの状態になっています。

    RasMolコマンドの基本

    RasMolの操作の基本は、
      
      [1.選択]       selectコマンドで原子を選択し、
      [2.アクション] それに対して表示の操作を行なう
    
    という形式になっています。例えば、全てのCysteineを黄色で表示したい場合は、次のようになります。
      RasMol>select Cys
      RasMol>color yellow
    
    10残基から30残基目までを空間充填モデルで表示したいなら、次のようにします。
      RasMol>select 10-30
      RasMol>spacefill
    

    selectコマンドの例

    表示アクションコマンドの例

  3. 立体構造の表示(2)Chime-plugin

    立体構造をnetscape, explorerなどのブラウザの中で表示するためには、 Chime-pluginというプラグインを使うのが一般的です。 MDLのWEBページ http://www.mdlchime.com/products/framework/chime/index.jspから無料でダウンロード できます。MDLはRasMolをベースに開発されたものですが、Pluginとして設計されているので コマンドラインモードがありません。その代わり、より便利なメニュー機能と、通常のRasMolでは 表示できない分子表面の表示ができます。

    ローカルでChime-pluginを使うには、以下のようにします。

    1. メモ帳などのエディタで以下のようなファイルを作成します。
       <HTML>
       <BODY>
       <embed src="6adh.pdb" height=500 width=500>
       </BODY>
       </HTML>
      
      6adh.pdbの部分には表示したいPDB形式のファイル名を入れてください。 ただし、PDBのファイル名は必ず末尾が.pdbである必要があります。 そしてこのファイルをHTMLファイルとして保存します。ファイル名の末尾が.htmlである 必要があります。
    2. 作成したHTMLファイルをExplorerで開く

    分子表面を見るには、まず、分子表面を表示したい原子を選択してください。蛋白質 原子を全て選びたい場合は、マウス右ボタンでメニューを表示させた後
    Select → Protein → Protein
    とします。そのあと分子表面を作成します。マウス右ボタンでメニューを表示させた後、
    Select → Display List → Create Molecular Surface
    で分子表面が計算され、白で表示されます。 分子表面に静電相互作用に基づいた赤青の色付けをするには、
    Select → Display List → Color → Electrostatic Potential → Color Red-White-Blue
    を選んでください。

  4. 立体構造予測

    タンパク質の立体構造予測は長い間研究され、極めて様々な方法が提案されて きました。しかし、現状で最も信頼がおける方法は、ホモロジーモデリング法と 呼ばれる方法です。これは、次の2段階からなります。

    本演習では、[Step 1]の部分を中心に行ないます。 [Step 2]の部分は、構造の配座最適化計算を行なう必要があり、 計算時間がかかるので本演習では簡易に、アミノ酸配列の名前と番号の 文字列を入れ換えた構造で代用することにします。

    MATRASサーバを用いてある配列と類似するタンパク質を立体構造データの中から検索する

    予測対象配列に対して以下の操作を行なってください。

    1. MATRASサーバ(http://biunit.aist-nara.ac.jp/matras/)にアクセス
    2. Sequence Search vs PDBをクリック
    3. 予測したアミノ酸配列をカットアンドペーストして、\fbox{SEARCH}をクリック BLASTでヒットした構造がグラフィカルに表現されるはずです。 黄色いバーはβシート、赤いバーはαヘリックスを表しています。
    4. ヒットしたPDBコード(1jjvA, 1h67Aなど)をクリックする クエリ配列とその構造とのアライメントが表示されます。
    5. 画面上の【SeqReplaced3D】をクリックする ブラウザ内にテンプレート構造のアミノ酸配列をクエリ配列のアミノ酸の 名前と残基番号で置き換えたPDBファイルが表示されます。
    6. ブラウザの【ファイル】→【名前と付けて保存】でこのPDBファイルを 例えば''model.pdb''という名前で保存する。
    7. rasmolを使って、予測構造を観察する。