ヒューマン・インタフェース研究室(株式会社 富士通研究所)

教育連携研究室

教員

  • 教授:早川 昭二

    教授:
    早川 昭二

  • 准教授:鄭 育昌

    准教授:
    鄭 育昌

E-mail { shayakawa, cheng.yuchang } [at] jp.fujitsu.com

研究室概要

本研究室は,川崎市の富士通研究所内のメディア処理研究所にあります。メディア処理研究所では人間中心の知的社会を実現するため、人間とICTの接点である「画像・音声・自然言語技術」を活用した、新しいサービス・世界の実現を目指して研究開発を行っています。その中で当研究室では、特に自然言語処理と音声情報処理を中心に、人対人の円滑なコミュニケーションを可能とするヒューマン・インタフェース技術の研究開発を行っています。企業の研究室であることから、適用製品を意識した出口指向の研究開発を行う点に特色があります。当研究室では、事業・製品に繋がった研究開発の様子を間近に見ることができ、幅広い研究開発を行う多様な研究者に直に接しながら研究ができます。配属後は京浜地区にて提供される寮から研究室に通って頂きますが、移動時期等できるだけ柔軟に対応したいと思いますのでご相談下さい。

主な研究分野

近年、音声の他に、インスタントメッセンジャーなど、テキストベースによるリアルタイムな「会話」が増えています。また、急拡大するインバウンド市場に向けて、翻訳システムを利用した多言語会話も増えていくと考えられています。単言語の音声・対面の会話と異なって、テキスト会話は文字以外の情報がなく、多言語会話は翻訳過程での情報欠落により、相手の発話に込める意図・感情を把握できなく、人対人の円滑なコミュニケーションを阻害します(図1)。

多言語テキスト会話における発話意図理解支障の事例

図1:多言語テキスト会話における発話意図理解支障の事例

当研究室は、単言語または多言語のテキストベース会話における意図・感情を正確に伝達する方法の研究を行っています。さらに、テキストベース会話に抱く主観的な印象である「会話の質」を定量化して評価する方法や、評価した「会話の質」を制御するための、発話者への働きかけの研究も行っています。これにより人と人/ICTを高度に結びつける新たなヒューマン・インタフェースに展開していきます。前記目的を達成するため、当研究室で研究している技術の例を以下に紹介します:

概念構造解析技術

概念構造解析技術は、図2のように、表記揺れ、語順揺れなどの表層的な違いを吸収し、自然文を言語非依存の意味的な構造に変換するための技術です。当研究室は本技術を用いて、円滑に会話をすすめるための意味解析、談話・会話解析や、翻訳品質の向上、さらに文書要約、文書校正などへの応用も進めています。

文の意味を表す概念構造

図2:文の意味を表す概念構造

多言語テキスト会話の発話補正技術

テキストベースの会話では、情報の省略、主語抜き、動詞語尾の崩れなどの計算機で解析困難な表現が頻出します(図1)。当研究室は、概念構造解析技術に基づき、意図伝達の障害になる発話を検出・補正する多言語テキスト会話の円滑化技術を研究しています。例えば、機械翻訳の適用において主語を補完する技術(図3)や、動詞語尾崩れを検出する技術(図4)などの研究を進めています。

多言語テキスト会話の発話意図理解支援のための主語補完

図3:多言語テキスト会話の発話意図理解支援のための主語補完

多言語会話の発話意図理解の支障になる動詞語尾崩れの検出

図4:多言語会話の発話意図理解の支障になる動詞語尾崩れの検出

言葉遣い・話し方(書き方)の評価技術

音声会話における言葉遣いや話し方は、「会話の質」を定量評価するための重要な特徴となります。当研究室では、音声会話における言葉遣いを評価する研究手法を元に、テキスト会話における「会話の質」の評価方法の研究を進めています。言葉遣いと書き方による会話の質への影響を解明することで、より意図・感情を表現できるテキスト会話を実現します。