ユビキタスコンピューティングシステム研究室

スマートな未来社会を一緒に創造しましょう!

教員

  • 安本 慶一

    教授:安本 慶一

  • 諏訪 博彦

    准教授:諏訪 博彦

  • 野瀬 大補

    客員准教授:野瀬 大補

  • 松田 裕貴

    客員准教授:松田 裕貴

  • 松井 智一

    助教:松井 智一

  • 佐々木 航

    助教:佐々木 航

研究を始めるのに必要な知識・能力

基本的には、最先端技術に対する知的好奇心が重要です。新しいデバイス、技術などを常にチェックしつつ、自分ならこうするといったアイデアを考える習慣をつけてほしいと考えています。学術的な知識としては、通信方式、機械学習、プログラミング(Pythonなど)、電子回路(Arduinoなど)がありますが、これらは入学後に学習可能です。

研究室の指導方針

研究テーマについては、学生自身のアイデアを核に、専門の異なる複数の教員が関わり、多角的な視点で、ディスカッションを重ねながら決めていきます。2年間しかない中で最大の成果を出すために、研究はハイペースで進め、積極的に対外発表していきます。同時に、企業との共同研究に関わってもらうことで、視野を広げつつ、コミュニケーションスキルも伸ばしていきます。国際的に活躍することを念頭に、ゼミでの論文紹介等はすべて英語で実施し、博士課程進学希望者には短期(2-3ヶ月)で海外派遣を行なっています。

この研究で身につく能力

ユビキタスコンピューティングに関する各種技術に関する基礎的な知識はもちろんのこと、それらの先端技術を複数組み合わせ、1つのシステムを具現化する能力が身につきます。具体的な基礎技術としては、センサを用いた計測手法、機械学習を用いたデータ分析手法、アプリケーションやサービスの開発手法などが挙げられます。企業との共同研究や社会実装を通じ、実社会での課題を把握することも可能です。また、学会や論文誌への投稿を経て、自身の考えを論理的に記述する能力およびプレゼンテーション能力も身につきます。大半の学生は在学中に国際会議発表を含め、何度か対外発表を行い、その中で何らかの賞を受賞する程度の業績を出しています。

修了生の活躍の場

一般企業から研究所まで幅広く活躍しています。
これまでの就職先は、SONY、トヨタ自動車、AWS Japan、Accenture、Panasonic、三菱電機、日本IBM、日立製作所、NTTデータ、NTTドコモ、野村総合研究所、KDDI総合研究所、デンソー、楽天、日本オラクル、Yahoo! Japan、DeNA、CyberAgent、Salesforce、毎日放送、Askul、日経新聞、テルモ、村田製作所、ミサワホーム、日本マイクロソフト、ダイキン工業、ZOZO、ファストリテイリング、Vanderbilt University、九州大学、情報通信研究機構などです。

研究内容

本研究室では、私たちの住む世界を超スマートにする「Society 5.0」の実現を目指し、そのキー技術となるサイバーフィジカルシステム(CPS)を3つの重点対象領域に普及させるための研究を推進しています。「スマートホーム」では、学内のスマートホーム施設や一般家庭に設置したセンサや機械学習を駆使した生活行動認識・予測や知的家電制御の研究を行っています。「スマートライフ」では、スマートフォンアプリやウェアラブル機器を使って、日々の生活やスポーツにおける心身の健康度合いの計測・増進を行う研究に取り組んでいます。「スマートシティ」では、エッジ型IoT分散処理プラットフォーム、連合学習(Federated Learning)、ゲーミフィケーションも使った効率良い参加型情報収集、収集した情報を取捨選択して価値をもたせるキュレーション等の研究を行っています。人に関する様々なデータをセキュアに収集・流通させるための差分プライバシー技術に基づくプライバシー保護機構についての研究も進めています。さらに、生産性の向上を目指すスマートオフィスの研究として、仕事中の様々なコンテキスト認識に加え、行動変容に関する研究を行っています。いずれの研究も、センサやIoTを用いた「実世界からの情報収集」、機械学習やAI技術を活用した「情報の分析」、そして、アプリやサービスといった「分析結果の応用」の3技術領域を跨って、ハードの開発からソフトの実装を含んだシステムとして動作させることを重視しています。

スマートホーム

快適で省エネ、安心な未来のスマートホームの実現に向け、お風呂なども備えた実際の家を学内に建設し、新しいセンサの開発やセンサを活用した行動認識、家電連携、高齢者見守りなど様々な最先端の研究を進めています。また、一般家庭への普及を目指し、電源や通信配線が不要なスマートホームキットを開発しています。現在は、リアルタイムな行動認識に加え、将来の行動予測や居住者の感情や体調の推定をすることで、居住者の予定や気持ちに寄り添った家電制御などに取り組んでいます。また、3D点群処理技術を駆使したマイクロ行動認識や遠隔空間共有に取り組むなど、新たな分野にも積極的に挑戦しています。

  • 宅内における日常生活行動の認識・予測
  • 高齢者見守り・異常検知システム
  • コンテキストアウェアなスマートホームサービス
  • 導入が簡単かつユーザフレンドリーなスマートホームキット
  • 3D点群によるマイクロ行動認識・遠隔空間共有

スマートライフ

人が行う様々な活動(日常生活やオフィスワーク、スポーツなど)に伴う心身の状態とその変化を認識し、QoL(生活の質)が向上するような行動変容を促す研究を行っています。スマートフォンやウェアラブル機器に加え、日用品にセンサやアクチュエータを埋め込んだテーラーメイドIoT(食行動を認識する箸、姿勢を認識する椅子、打突動作を認識する竹刀など)を開発しています。IoTナッジ技術と箸型IoTを使って、食べた料理の種類や食べる速度をIoT絵画にリアルタイムに反映する(偏食や早食いの際には、限られた色しか塗られない、色が混ざって濁った色になるなど)ことによって、より健康的な食行動(ゆっくり満遍なく食べる)を誘発するIoTナッジの研究や、糖尿病予防を目指し、供された食事を全部食べた時の血糖値上昇を予測し、食後高血糖状態にならないように、接種しても良い食事量を提示・誘導するナッジシステムの研究にも取り組んでいます。

  • スポーツ・トレーニングのセンシング・指導
  • 心身の健康状態の推定
  • ワークエンゲイジメントを高めるためのスマートオフィス
  • テーラーメイドIoTを用いたヒューマン・コンピュータインタラクション
  • 健康行動変容のためのIoTナッジ

スマートシティ

持続可能な社会を実現するために、街や社会の状態をセンシング/分析/フィードバックする技術について研究を行っています。特に、人にセンシングを依頼する参加型センシング技術、個人にあった観光動画を提供する観光キュレーション技術、ソーシャルメディアから有用な知見を抽出するソーシャルセンシング、BLEを用いた混雑度センシング、実測データとシミュレーションデータの同化による人流推定などに力を入れています。その中で継続的に協力を得るためのメカニズム(ナッジ・ゲーミフィケーションなど)やセンサデータの分散処理機構(エッジコンピューティング、連合学習など)、災害時のセンシング・通信手法など、未来の社会を実現するのに必要な技術を幅広く研究しています。

  • ユーザ参加型センシングシステム
  • スマート観光のための自動動画キュレーション
  • 混雑度センシング
  • 実測データとシミュレーションデータの同化による人流推定
  • エッジ・フォグコンピューティングに基づくIoTプラットフォーム
  • 観光オブジェクト・シーン認識のための連合学習
  • 災害時のセンシング・通信手法

研究設備

  • スマートホーム環境(様々な環境センシングシステム、点群取得システム、情報家電、等)
  • 都市センシングプラットフォーム(混雑度推定システム、参加型センシングシステム、等)
  • システムのモデリング・シミュレーションツール(Scenargie)
  • ウェアラブルセンサ(視線トラッカー、生体センサ、スマートウォッチ、等)
  • RGB-Dカメラ(Kinect、RealSense等)
  • ヘッドマウントディスプレイ(Holo Lens 2、HTC Vive Pro Eye等)
  • モバイルデバイス(スマートフォン等)
  • 各種センサ

研究業績・共同研究・社会活動・外部資金など

国内外において多数の対外発表を行うとともに、数多くの学術賞を受賞しています。共同研究は、毎年多くの民間企業・自治体などの組織と実施しており、研究成果の社会還元を念頭に研究を進めています(トヨタ、ソフトバンク、Yahoo! Japan、オンキヨー、グローブライド、NTT西日本、読売テレビ、市浦ハウジング、奈良県立美術館、近鉄ケーブルネットワーク、YuMake、南都銀行、奈良県、生駒市、等)。競争的資金は、科研費や、JST COI-Next、などの予算を獲得しています。また、理研AIPの研究プロジェクトにも参画し、他大学の研究者とも積極的に共同研究を実施しています。また、これらの研究成果はメディアにも多数紹介されています(NHK全国放送・毎日放送・テレビ大阪等、読売新聞・朝日新聞・日経新聞等、ITmedia NEWS等)。 詳細については、研究室Webサイトをご覧ください。

詳細については、研究室Webサイトをご覧ください。

受験生の皆様へ

現実世界とコンピュータ・ネットワークの中のサイバー世界が高度に融合された社会(Society5.0)に向け、私たちの生活や経済活動を高度にスマート化するサイバーフィジカルシステム(CPS)に関する研究開発が世界的に活発化しています。AI技術とIoT技術の急速な進展は、CPSの高度化および社会への急速な浸透を促進しており、全ての産業分野において飛躍的な進歩をもたらすことが期待されています。本研究室では、IoTや実世界状況認識の研究を通して、Society5.0の実現に貢献するとともに、学生が問題を発見・解決し、社会にフィードバックする能力を身につけることを目標にしています。上記に加え、論文執筆力、プレゼンテーション力、コミュニケーション力を向上させるため、学会での発表を奨励しています。ありがたいことに全国から優秀な学生が集まっており、毎年多くの賞を受賞しています。優秀な仲間たちと切磋琢磨し、未来のユビキタスコンピューティングシステムの実現を担う最先端の研究がしてみたいという熱意ある学生をお待ちしています。