ネットワーク統合運用研究室(国立研究開発法人情報通信研究機構)

新しいネットワークを創る

教員

  • 小林 和真

    教授:小林 和真

  • 河合 栄治

    准教授:河合 栄治

研究を始めるのに必要な知識・能力

ネットワーク構成法やネットワークプロトコルなど、初歩的な知識があるとスムースに研究を始めることができます。そうした知識があまりなくても、ネットワーク技術を含め新しい技術に対する尽きない興味を持っていることが大切です。

研究室の指導方針

当研究室は、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)と連携する連携研究室NICTでは国内外の専用回線で構成される実証実験環境(テストベッド)ネットワークであるJGNなど、様々な情報通信インフラを実際に構築、運営しています。当研究室での研究開発では、座学に加え、そうした実際の環境に触れ、成果を動作させ検証する実践的なアプローチを取ります。必要に応じて、NICTの本部(東京都小金井市)やテストベッド運用センター(東京都千代田区大手町)においても研究指導を行います。

この研究で身につく能力

各種ネットワークプロトコルをはじめネットワーク技術についての実学的な知識に加え、情報通信インフラにおける課題解決能力を身につけることができます。既存技術の実装を調査したり拡張したりすることを通じてプログラミング能力も身につきます。近年は情報通信の課題は具体的なアプリケーションサービスに密に関連していることが多いため、アプリケーションサービス提供事業者の動向など、業界全体を俯瞰してインフラの最適化を考える能力も養われます。

修了生の活躍の場

IT業界だけでなく、その他の業界でも本研究室での研究開発の経験を生かすことができます。

研究内容

本研究室の教員は所属しているNICTにおいて、最先端のネットワークインフラ技術をターゲットに研究開発を進めています。
具体例の一つに、8K映像伝送の取り組みがあります。8K映像は今の4K映像のさらに4倍高精細なもので、将来の実用化が期待されています。この8K映像は、非圧縮の場合はおよそ20Gbpsから144Gbpsもの帯域を消費し(具体的な帯域は映像フォーマットに依存する)、NICTではこの超広帯域な非圧縮8K映像の長距離伝送、セキュリティ確保のための暗号化、複数の100Gbps回線を用いるマルチパス伝送、多地点配信のためのマルチキャスト伝送などを通じて、その中で発生する技術的な課題の解決に向けた取り組みを行っています。
別の例としては、Software Defined Networking(SDN)技術の取り組みがあります。SDNは、従来はルータやスイッチなどの機器に実装されていたネットワーク制御機能を外部のソフトウエアに実装し、それにより集中制御する仕組みです。NICTでは、このSDN技術の実証を広域で行うことができるRISEテストベッドを構築し、ユーザに提供しています。このテストベッドでは、SDN機能をユーザに提供するのに加え、実証環境のユーザ毎の論理的な分離や、実証で用いるネットワークトポロジの柔軟な構築機能といったテストベッドとして必要となる機能をSDNを用いて実現する取り組みを行っています。
さらには、IoTテストベッドの実現に向けた取り組みも行っています。IoTでは、各種センサーデバイスおよびデバイスを接続するアクセスネットワーク、デバイスからのデータを収集しサービスを実装するクラウド、アクセスネットワークとクラウドを接続するコアネットワークなど、多様なインフラ要素の連携が重要となります。現在のIoTは、低能力なデバイスから比較的小容量データを集め、ビッグデータとして集中処理をすることが多いですが、センサーデバイスの超高性能化に伴いデータは大容量化し、デバイスやアクセスネットワーク側でのデータ処理(エッジコンピューティング)も活用した超分散のシステムとなり、かつそれらが高信頼で動作することが期待されます。そういった将来のIoTを支える情報通信インフラの実現を目指した研究開発を進めています。

研究設備

NAISTが有している研究設備に加え、NICTが有しているテストベッド環境(広域ネットワーク、大規模クラスタ環境など)が利用できます。
詳細は、NICT総合テストベッド研究開発推進センターのWebサイト(http://testbed.nict.go.jp/)を参照ください。

研究業績・共同研究・社会活動・外部資金など

NICTは、放送局、ネットワーク機器ベンダー、通信事業者、地方自治体、大学等と共同プロジェクトを進めており、参画することが可能です。