ヒューマンロボティクス研究室
人間の機能・能力を拡張・向上する機械システムに向けたロボットと人間の運動知能に関する研究
教員
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教授:和田 隆広
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客員教授:平岡 敏洋
(日本自動車研究所) -
准教授:劉 海龍
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助教:織田 泰彰
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助教:本司 澄空
t.wada@is.naist.jp t.hiraoka@naist.ac.jp liu.hailong@is.naist.jp y.orita@is.naist.jp honji.sumitaka@naist.ac.jp |
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研究室のサイト | https://sites.google.com/view/humanroboticslab-j/ |
研究を始めるのに必要な知識・能力
数学や英語などの基礎学力、基本的なプログラミング能力を十分に備えていることを期待します。ロボティクス、制御理論、機械学習、Human Factors等、関連分野のいずれかに関する基本的な知識を有していることが望ましい。
研究室の指導方針
研究テーマは研究室のビジョン、推進しているプロジェクト、スタッフの強みと、学生個人の興味や得意分野等を考慮して決定します。
この研究で身につく能力
ロボット・機械システム、ヒューマンマシンシステムの設計・制御技術、システムインテグレーション技術、情報技術を活用した人間特性モデリング技術、(特に人を含む)実験を通じた評価技術など。
修了生の活躍の場
自動車メーカー、総合電機メーカー、情報通信産業など幅広い分野。大学教員として活躍している修了生もいます。
研究内容
ロボットを始めとする知能機械システムの機能向上に伴い、我々はこれまで単独では成し得なかったことができるようになった。例えば自動車は時速100km/h以上での移動を実現し、建機やパワーアシストシステムは重量物の移動を可能にした。AR技術は現実世界を主に感覚の観点からまさに「拡張」する。このように機械システムの高度化により人間機械システムとしての機能・能力の拡張、向上が実現されている。
しかしながら、人間の能力の過度な拡張はかえって作業性能を低下させることもある。また、機械への過度の依存は機械システム不使用時の能力を低下させることもあり得る。さらには生身の体では実現し得なかった身体運動を実現することで、普段要求される範囲以上の認知、判断が要求され、作業負荷が高まり、動揺病(乗物酔い、VR酔い、操縦酔い)が発症する場合がある。
本研究室では、ヒューマンマシンシステムとしての(機械使用時)パフォーマンスの向上に加え、拡張時における負担(高ワークロード、酔いなど)の低減、さらには、人間の機械への適応促進による(機械システム不使用時の)人間の能力向上
を志向している。
そこで本研究室では
1. 人間の知覚-運動制御ループに対する理解および、機械操縦時、車両乗車中、Human Robot collaborationなどの身体機能の拡張が影響の理解
2. その理解に基づく身体機能向上(リハビリ、操縦スキルアップほか)および、負の効果(動揺病、VR酔いなど)の低減の実現を実現する、ヒューマンマシンインタラクション、ヒューマンロボットインタラクションの設計・制御手法の確立
3. 上記を支えるマシンインテリジェンスの実現
について研究を行っている。
以下が現在進行中あるいは過去の研究テーマの例である。
ヒューマンモデリング
- 人の感覚情報処理/動揺病(乗物酔い、VR酔い、宇宙酔い)の実験研究、計算モデリング(多くの研究者やメーカー等で利用されている)(図1)
- 運動知覚、感覚統合のモデリング
- 前庭性、視覚・前提感覚統合時の動揺病モデリング
- 視覚誘発性動揺病のモデリング - 動揺病モデルを用いた車両運動制御、動揺病低減視覚刺激生成手法
- 機械操作酔いとその対策(水中ロボとと酔いなど)
- 宇宙酔いモデリングへの挑戦
- 操縦型機械におけるオペレータスキル同定手法と機械適合への応用
- 多リンク構造体の有する巧みさ(motion intelligence)の動力学的理解
図1:運動知覚/動揺病計算モデル。頭部運動、視覚入力から人間の嘔吐発症率を予測
ヒューマンロボットインタラクション
- スムーズな協働を実現するヒューマンロボットコラボレーション(図2)
- ヒューマンロボットコラボレーションにおける安定性、安全性を考慮した制御理論に関する研究
- 遠隔操縦型ロボットの高度化(Haptic shared controlなどの協調制御)(図3)
- 誘導ロボット(図4)
図2:Human Robot Collaborationのための人間感覚拡張の研究
図3:遠隔操縦型ロボットの高度化
図4:誘導ロボット。人間とロボットのインタラクションを考慮した制御
Human Vehicle Interaction
- Automated Personal Mobility Vehicle(APMV)と人間のインタラクション(図5)
- 自動運転車両および運転支援システムと人間の各種Human Vehicle Interactionの研究(図6)(スムーズな運転引継ぎ、動揺病低減制御、運転技量やドライバ運転モデリングほか)
図5:APMV用の外向けHuman Machine Interface(eHMI)。Passengerのpersonalityに応じた情報提示他
図6:自動運転車/運転支援システムと人間のインタラクション研究
研究設備
- 運動感覚提示用各種モーション装置(9m直動スレッド、6軸モーション装置2台、ヨー回転椅子ほか)
- 水中ロボット 3台
- アームロボット(2台)
- 4足歩行ロボット
- 大型プール(4m×3m×2m、情報科学領域保有)
- モーションキャプチャシステム
- ドライビングシミュレータ
- 自動運転パーソナルモビリティシステム
共同研究
筑波大学、立命館大学、東京大学、日本自動車研究所、香川大学、デルフト工科大学、ミシガン大学、民間企業との共同研究も積極的に行っています。