21世紀COEプログラム●ユビキタス統合メディアコンピューティング●


音情報処理学講座 高谷 智哉

研究課題名
音情景分解技術と音場再現技術を統合した音響拡張現実感に関する研究

研究の目的
一般的に,我々人間は両耳で音を聞いており,その両耳で観測される信号をバイノーラル信号と呼ぶ.バイノーラル信号は各音源の位置・方向・空間の音響情報等を含んでいる.本研究ではバイノーラル混合信号を空間の音響情報等を失うことなく分解し,個々の音をそれぞれに再現する音響拡張現実感システムの実現を目的とする.

平成17年度の研究実施計画

本研究では,人間の耳の位置で収録された未知の音源からの混合信号をSingle-Input Multiple-Output (SIMO)モデルに基づく信号に分解するバイノーラル混合音のブラインド分解問題に取り組んでいる.筆者はこの問題に対し,観測信号をモノラル信号として出力す
る独立成分分析(ICA)アルゴリズムを拡張し,各音源に関してモノラル音ではなくバイノーラル音に分解するSIMO-ICAを提案してきた.
本年度は,提案法を実装した音響拡張現実感システムの試作機の作成を行い,実環境下において本提案法の有効性を検証する.