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■実証的ソフトウェア工学を目指して

ソフトウェア工学講座では,業務アプリケーションから組込みソフトウェアやネットワークソフトウェアまで,様々なソフトウェアを対象として,その開発・利用・管理を支援する技術の開発を行っています.特に,理論面での議論とともに実証実験や成果の実用化にも力を入れて取り組むことで,実用性の高い技術の確立を目指しています.

IT社会の基盤を担うソフトウェアですが,その脆弱性は依然解消されていません.ソフトウェアに関する技術を工学として体系付け,脆弱さを克服するためには,19世紀末の物理学がそうであったように,理論と実験の双方を重視した研究が今後重要になると考えられます.例えば,2007年からスタートした文部科学省・次世代IT基盤構築のための研究開発プロジェクト(StagEプロジェクト)では,ソフトウェア構築状況を表す実証データを「ソフトウェアタグ」としてソフトウェア製品に添付し,ユーザ/ベンダ間等で共有する技術を世界に先駆けて開発しています.

実証や実用化を重視しているため,研究成果は,いわゆる学術論文としての発表だけでなく,ソフトウェアの公開(オープンソース化),特許の出願,連携企業での技術適用など,幅広く多面的に公表しています.

■マルチスペシャリストを目指して

ソフトウェア工学講座では,情報科学やソフトウェア工学に関する知識(基礎力)の獲得だけでなく,知識の背景にある原理や理念を深く理解し,環境の変化にも対応できる力(適応力)の養成に力を入れています.さらに,博士後期課程の学生に対しては,問題を自ら発見し,研究計画を立て,一定の成果を得るまで実行する力(実践力)が身につくように,と日々奮闘しています.

奈良先端科学技術大学院大学は,幅広い分野から学生を受け入れてきており,学生の多様性は今後も拡大すると思われます.教員の役割は,学生に対する一方的な知識の教授ではなく,学生が自由に発想し,互いの特性を発揮しながら協調することの出来る枠組みや場を提供することにあると考えます.特に,ソフトウェアの開発・利用形態が多様化する現状では,ソフトウェアに関する基本的な理論や技術を踏まえつつ,多様な学生の知識や好奇心をうまく組み合わせていくことが,既存の理論や技術の枠にとらわれない,先端的で実用的な研究に繋がると考えます.

多様な環境の中で身につけた適応力や実践力は,きっと,社会に出てからも色あせず,研究者や技術者として末永く活躍する基盤になると考えています.

奈良先端科学技術大学院大学 ソフトウェア工学講座
松本 健一